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「最近、夏彦が声変わりし始めたんだ」
冷たい表情をして理緒が言う。
「君の家の運転手が、君の秘密を守ってくれている事に感謝しないとな」
「そうだな、1人目をコレクションした後、車に同級生を乗せた事を黙っていて欲しいと言ったら、『かしこまりました、坊っちゃん』って、そう言ってくれた」
「まさか運転手と寝たんじゃないだろうな」
「妬くなよ。寝てないし。僕が生まれた時から運転手をやっていて、家族みたいなもんなんだ」
「その夏彦って奴は……」
「ん?」
「夏彦は何故すぐ殺さなかった。1人目は気に入ってから2週間で殺しただろう」
「そうだね。何故だろう」
「そいつを好きなのか?」
「嫌いじゃない。夏彦は綺麗な馬鹿なんだ。とても綺麗だよ、ココもね」
理緒はココ、と言いながら博士の胸をゲンコツでグッと押す。
「そうか……」
「でも、好きでもない。僕が好きな人間は僕だけだから」
「そうだな……」
博士は理緒が自分以外の人間に関心を向ける事に激しく嫉妬した。
子供相手だとは解っていても理緒の愛情が夏彦に向かうような事がありはしないかと不安になり、短絡的に夏彦が消えたらいいと思った。
夏彦を殺そう
そうして、理緒の願望の果てと博士の願望の果ては結局の所、容易く一致する事となった。
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