第三章 ギルドと怪盗

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「総合冒険者ギルド、ですか?」 「知らないのか? 一体どんな田舎から出てきたんだ?」 「まあ、そんなところ……かな?」 「そういえば服も見たことない。放浪民族か? とにかく情報交換やモンスター討伐を中心に国内の治安維持を王国とともにしている組織のことだ。最近はゴブリンが大量に出没するとかで、冒険者が協力して倒しているそうだ。もし行くなら、ギルドはそこをまっすぐ行って右に曲がったところだな」 「ありがとうございます。行ってみます」 「そうか、君たちが探しているものはないかもしれないが、この国で暮らすつもりなら頼りになるはずだ」  そうして、甘利(あまり)たち4人は、その建物を目指すことにした。  大きなブロック状の白い建物に着くと表の大きな扉から中へと入ることにした。  人の数が混雑時のイベントのようになっていた。  ちょうど人のいるピークの時間帯に当たってしまったのである。 「あ! あれだよ!」  右脇の壁に展示物が置いてあり、その中の一つに目的の絵画を見つけた。 「よかったわ。これで帰れそうね……」 「そうですね」  甘利(あまり)たち4人は絵画に近づいて周囲を見回した。  芸術品に興味がない人が多いのか、絵画の周囲には人がおらず、見ている人もほとんどいない。   「よし、さっそく戻ろうよ!」 「ここに絵画があればいつでも行き来できるでしょうか?」 「レミリ、何言ってんの? 説明書には絵画の間をランダムで移動って書いてあったんでしょ?」 「そうでしたわ!」 「どうするの? 戻るのやめちゃうの?」  瑠湖(るこ)は空腹が限界に達していた。  ぐったりしたその様子を見て餡子(あんこ)はため息をついた。 「まったく先輩は……仕方ないわね。帰りましょう」  4人は絵画に手を触れて念じた。
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