第三章 ギルドと怪盗

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 最後に甘利(あまり)が最終判断を下すと、詳しい説明を受けた。  要するに住み込み型職員ということである。  お金に困った移民は以外と多いらしく、男の人だと冒険者を、女の人だと接客や受付、それ以外にもした働きなどの仕事が用意されているのだという。  日本のように住所を求められることもなく、結構ゆるい採用である。  説明が終わると、奥に案内された。  その途中、別の女性職員の一人が中を案内してくれた。 「はじめましてですね。そんなに力仕事はないと思いますが、お客さんにはいろんな人がいますから気をつけてください」 「たとえばどんな人が?」 「酔っ払いは一番たちが悪いですが、女の子たちは特に迫ってくるような男性に気をつけておけば大丈夫だと思いますよ」 「そういうのは、確かにありそうですけど……」 「あ、最近はギルドで奇妙なことが起きているので、特にですね」 「奇妙なこととはなんでしょうか?」  レミリはその話に食いついた。 「実は……冒険者を管理するカウンターにはモンスター退治の依頼や買取を行っているんですけど、そこに何者かが魔物討伐の部位や価値のある素材を置いていくんです」 「討伐部位? 素材?」 「ええ、女の子は知らない人も多いですよね。モンスターを倒したときにお金に買えることができるもののことですよ」 「じゃあ……嫌がらせとかではないってことですか?」 「そうなりますね。近くの森に生息するモンスターがいて、最近はゴブリンが大量発生していてギルドも困っていたんですが、少しでも倒すのに協力をしてくれるならこちらとしても助かるわけです」  レミリは相槌をうった。 「不思議ですね。そのまま名乗り出てお金に変えればいいだけなのに、どうしてでしょうか?」 「そうですよね。それが分からないので、一部の職員はその謎の人物Aを不気味だと恐れているんです」 「謎の人物Aですか……」  甘利(あまり)はそのことが少し気になった。 「着きました。さて、仕事の詳しいことはまた後で教えますね。こちらはギルドの管理している部屋になります。仕事以外はこちらで生活していただければと」 「わかりました。ありがとうございます」  他の絵画の情報を手に入れるまでここで暮らすことになった。  名ばかりの探偵事務所とは違う、4人の初めての仕事となる。  
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