第三章 ギルドと怪盗

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「なんだかんだで、探偵っぽくなってきたんじゃない?」 「そうだね」 「あとは謎の解明でしょうか?」  餡子(あんこ)は一番可能性のあるほうへと視線を向けた。 「甘利(あまり)先輩、どうですか?」 「どうってなにがですか? さっきの謎についてはまだちょっと」 「私たちはどうすればいい……? やっぱり謎の解明のために情報を集めたほうがいい?」 「ですけど明日の昼からは仕事の説明がありますし、仕事をしながらの情報収集は厳しいかもしれませんね」 「そうなのよね。少しでもいいから謎を解くための手がかりがないと、むやみに動けないし……甘利先輩が何かひらめくまで待つ?」 「それは先輩に申し訳ないですよ。できれば私たちも何か手がかりを探して別々に動くのがいいかもしれません」 「ねえ、だったらさあ。その素材の置かれる現場を見張るのは!?」 「そうね、たしかにそれが一番早いけど、この施設は人が多いから一人ひとりの行動を見逃さないように監視するのは難しいわよ?」 「そうですわね。カウンターも複数ありますし、置かれる場所も決まってないみたいでしたし」 「それにカウンターには人がいることも多いし、職員が気づくと思うんだけど。職員が見てればその情報がもうあるはずだし……」 「そっか~。甘利(あまり)ちゃんはどう思う?」 「そう……ですね。ダメもとでまずはやってればいいのでは? 仕事してても監視は出来ますし、まだまあだこっちの異世界人に慣れてませんし、その意味でも思いついたことをぎりぎりまでやってみればいいかと思います。できなくてもペナルティはないですし」 「わかったわ」 「うん、それでいいよ」 「そうですわね」  初日はカウンター近くを見張ることから始まった。  いつ置かれるのかは分かっていないがお昼前~昼すぎが多いという話だ。  朝から手分けして監視することに。  とはいえ、ずっとは無理だから出来る範囲でということだ。  その中でなにか少しでも手がかりになるようなことがあれば報告することになった。
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