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事件から二日後。
部屋で報告会がなされた。
「どうだった? 今日は何か見つかった?」
「ルコは、男の子を見かけたよ」
「私も見たわ。たぶんギルド職員の家族じゃないかな? 息子とか。いくら男の子でも冒険者は15歳以上って決まりよ。あの子まだ5~6歳でしょ? 仕事は無理なはず。それよりレミリはどう?」
「正面は、怪しい人物はいませんでしたわ。手がかりは結局見つかりませんでしたけど、どうしましょうか?」
「タイミングが悪かったから? もう不審者かどうかでは見分けつかないんじゃない? それに事件から今日まで素材が置かれたていたって報告はなかったし、やっぱり変よね。ここのところずっと素材は置かれてたはずなのに」
「絵画も盗まれてしまいましたし、愉快犯の仕業でしょうか? 騒ぐ私たちを見て喜んでいるのではないでしょうか……」
「愉快犯……確かにそれはありえるわね。規則性がないのもそのせいかしら?」
「ルコにはわかんないな。そんな子として何が楽しいのかな?」
「先輩が美味しそうにお菓子を食べるように犯人が悦楽を得るために事件を起こしているんでしょ?」
「そうなると、犯人を特定するのはさらに難しくなるのではないでしょうか?」
「そうよね……。まだ恨みを持ってるほうが分かりやすいってもんね」
レミリは今日の出来事を思い返している中で思い出したという顔をした。
「あ、そういえば事件とは別件ですけど、私たちにギルドの場所を紹介してくれた方が様子を見に来てくれましたわ。もう商人から足を洗ったそうですけれど」
「あの商人がねえ? いかにも苦労人って顔してたわよね。借金あったとか言ってたし。でもこっちの世界ってそれほど生活に困らないはずよね。なんで大きな借金を背負ったのか謎ね」
「そう? でも、あのおじさん優しかったから今度お礼言わないとだね」
「そうですわよね……」
「まあ、多少は感謝してる。私たちと似た境遇だったから、私たちにとってもベストな案内をしてくれたんじゃない? きっとそうよ」
甘利(あまり)は3人の会話を黙って聞いて深い思考の海に潜り込んだ。
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