第三章 ギルドと怪盗

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 どうして、報酬を受け取らず、素材だけ置いていくのか?  なぜ一方的にギルドの利益になるようなことをしていくのか?  なぜ犯人は素材を置いていかなかったのか?  絵画を盗んでお金を置いていったのはどうしてなのか?    そして、ようやく口を開いた。  目の色が変わったように、澄んだ瞳を甘利(あまり)はしていた。 「……これなら、ありえるかもです。皆さん。明日、商人のおじさんのところへ行きませんか?」  翌朝、市場に出向いてみると、いつものスペースにはおじさんがいなかった。  商人をやめたのだから当たり前ではあった。  近くのスペースに座っていた人に聞いてみると、別のところで働き始めたのだという。  また近くの小屋に住んでいるらしいことも分かった。  それからは二組にわかれて移動することにした。瑠湖(るこ)と甘利(あまり)は仕事している店。残りの二人は小屋にだ。  仕事先は、ちょっとした居酒屋だ。おじさんは調理人の補助として働いていた。  休憩を見計らって声をかけることにした。 「こんにちわ」  瑠湖(るこ)が声をかけると、それに反応したおじさんが瑠湖(るこ)と甘利(あまり)に挨拶を返した。 「やあ。どうしてこんなところまで?」 「ちょっとお話をお聞きしたいんです」  甘利(あまり)はそう切り出した。 「話ってのは? そういえば、そっちのお嬢さんとはまともに話をしてないな」 「そうでしたね。ところで突然お聞きするのは失礼かも知れないんですけど、もしかして先日絵画を盗みませんでしたか?」 「……なに、を言っている?」  明らかに動揺した顔でおじさんは甘利(あまり)を凝視した。
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