第一章 探偵事務所

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 椅子に座っているおっさんは月刊誌のグラビア写真を見てニヤニヤしていた。  普段は仕事をする気も無く、ダラダラとすごして、たまにキリっとした顔をしていると思うとグラビアに出てくるアイドルの胸のサイズを観察したりしている。  このおっさんのおかしなところは、エロ本やエロメディア類ですらなく、グラビアにこだわっているところだった。 「あの人はカウントしなくていいと思っています。もしあなたの叔父でなければここでアルバイトも始めていませんでした」  甘利(あまり)をこのバイトに誘ったのがそもそも瑠湖(るこ)だった。 「おおーーーーーーーーーーーーーー! 舞ちゃんもついにグラビアデビューしたか!!」  中学生か高校生か分からない女の子の水着を見て喜んでいた。  ここに勤めているバイトは全部で5人。  うち、4人は女子高生。  座っているだけで時給2000円。  探偵の仕事はもっと雑務が多く忙しい仕事だと甘利(あまり)は知っていたから初めは気が乗らなかった。  しかし、誘いに来る瑠湖(るこ)の話を聞くうちに、もしや? ということでバイトすることになった。  甘利(あまり)はもしこのバイトが静かに本を読めるものでなければとっくにやめていただろう。 「そういえば、ルコね、さっきすごいの見ちゃった。」  瑠湖(るこ)は、自分のことをルコと呼ぶのである。 「すごいの?」 「お店で並んでたら前の人が偽札を出したんだ。男の人がただのコピー用紙に印刷したのだってバレちゃったらしくてね。店の人に警察呼ばれてたよ」 「最近良く聞く事件ですね。買い物して発覚。偽札被害にあったお店は特に敏感です。そのお店もそうだったのかもしれません。瑠湖(るこ)は大丈夫でしたか?」 「私? 大丈夫。違う列に誘導してもらったから。お菓子すぐ買えたよ」  そういってポタージュ味の菓子パンを美味しそうに食べていた。
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