第一章 探偵事務所

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 と、そこで二人の女の子がさらに扉から入ってきた。 「こんにちは、先輩方。今日も暇そうですね」 「ごきげんよう、甘利(あまり)さん、瑠湖(るこ)さん」  最初に入ってきた金髪ツインテールで目尻のきつい印象を与えるこの子は、獅子原柄餡子(ししはらあんこ)。口調もきつめでたまに毒を吐く。  後から入ってきたのが、肩まであるふわっとしたロールの髪が印象的な零牙条(れいがじょう)レミーリアである。長いから呼ぶときはレミリ。  丁寧な口調で毒は吐かないが、中身が腐っている。  漫画研究会に所属しているといえばもうお分かりだろう。  この中で一番外見と中身が乖離しているのは誰かと聞かれればレミリだと即答できるくらいには初対面のときと大分印象が違った。  ソファーに座った餡子(あんこ)はツインテールの髪を手で後ろに払って言った。 「今日も仕事無いんですか? そろそろ社会の役に立てるように努力したらどう?」  それを無視して所長は週刊誌を穴が開く勢いで見ていた。  餡子(あんこ)は額に青筋を浮かべて、筆記用具入れからはさみを取り出して、所長から週刊誌を奪い、グラビアページを切り裂いた。   「舞ちゃーーーーーーーーーーーーーーん! なんてことを……」    餡子(あんこ)は切り裂いたページを床に落としてぐりぐり踏みつけた。  最後にこう吐き捨てた。 「ロリコン死ね!」 「舞ちゃん……それとロリコンじゃねえ!」 「何が違うの? 女子高生にバイトといいつつここに集めて悦に浸ってるだけでしょ? もう私たち来なくても給料払ってよ」 「それはダメだ。断固拒否する!」 「もう意味わかんない……」  餡子(あんこ)は、こんな馬鹿に本気になるのが間違っているのだと気づいた。 「餡子(あんこ)ちゃんは働きたいの?」  瑠湖(るこ)は素朴な疑問を口にした。 「別に。こういうズルしてお金もらうのが嫌なだけ。あと下心とか」
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