第二章 異世界と絵画

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 甘利(あまり)たち4人は、絵画に手を触れると念じた。  これによって異世界にいけるというのだから不思議だ。  一瞬、光が放たれて目の前が真っ白になったと思うと、そこはもう別の世界だった。  説明書には、現実世界と異世界をつないでいるとあった  事務所の絵画と異世界の同じ絵画の間を通して、人の行き来を可能にしているというのである。 「ここが異世界なの?」  瑠湖(るこ)が最初に口にする。  それから呆気(あっけ)にとられていた甘利(あまり)は餡子(あんこ)とレミリを見て同じ表情をしていることを確認した。  3人とも周囲を異世界だというこの風景を見回すのだった。  餡子(あんこ)は動揺を隠しながらツインテールを払って言った。 「そ、そうらしいわね」 「ここは異世界のどのあたりなのでしょうか?」  レミリはは異世界という場所のどこに現れたのか気になったのである。  その大富豪っぷりで世界中あらゆる場所に行ったことがあるのだそうだ。  しかし、ここが地球のどの場所とも違うのだという。  まず人通りの多い場所でとても騒がしい。  一列に並んだ商売人たちが地面にシートを引いて物を売るフリーマーケットのような場所だった。  人が多いのはここへと足を運んで買い物をするためだと分かる。  時折、シートに座っている人に貨幣を渡して売り物を手渡す。  いつもどおり何も言わない甘利(あまり)は周囲をじっくりと観察していた。  ここは市場だとすぐに理解できた。
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