こころおどる

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「頑張っているハルさんを 社長自ら労ってるんだから良いじゃない。」 「社員がいないのを良いことに 貴女はデスクで酒飲んでるますしね。」 「一緒に飲みたいのにハルがお酒飲めないから、 わざわざ珈琲淹れてあげたんでしょうよ」 「飲めないんじゃなくて、 五感が鈍るから、飲、ま、な、い、んです。」 そう言ってむくれる彼を、可愛いと思ってしまう。 でもそれを言ったら怒られそうだから、 作業途中で机の上に散乱しているパターンや生地見本を眺める。 ふんわりとしたシルエット。 甘すぎず、上品で 花のようなワンピースが出来るのだろう。 物腰の柔らかい彼が創り出す洋服は、 着るものの心を躍らせる。 それはいつも社長として 完成品に1番に袖を通してみる私も 例外ではない。
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