3人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
ー貴女にいちばん綺麗でいて欲しいー
それが彼のブランドのコンセプトだ。
ちいさなくるみボタンが、
几帳面に小分けされたケースの中で
選ばれるのを待っている。
まだただの布と材料だが
良い仕上がりになりそうだと想像して
おもわず微笑む。
「素敵ね。前から聞こうと思ってたんだけど
いつも誰に着せるのを想像して作ってるの?」
返答がないから不思議に思って振り返ると、
重い溜息を吐く彼と視線が合う。
何かまずいことを言っただろうかと考えていると、
ゆっくりとした動作で老眼鏡を外して近づいて来る。
「それ、わかっててワザと言ってます?」
最初のコメントを投稿しよう!