こころおどる

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ー貴女にいちばん綺麗でいて欲しいー それが彼のブランドのコンセプトだ。 ちいさなくるみボタンが、 几帳面に小分けされたケースの中で 選ばれるのを待っている。 まだただの布と材料だが 良い仕上がりになりそうだと想像して おもわず微笑む。 「素敵ね。前から聞こうと思ってたんだけど いつも誰に着せるのを想像して作ってるの?」 返答がないから不思議に思って振り返ると、 重い溜息を吐く彼と視線が合う。 何かまずいことを言っただろうかと考えていると、 ゆっくりとした動作で老眼鏡を外して近づいて来る。 「それ、わかっててワザと言ってます?」
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