プロローグ

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例えばの話 もし、明日で世界が終わるなら君ならどうする? 静寂に包まれるニューヨーク。 そこに、そびえたつタワーの屋上で働き蟻のように人々が行き交う街を冷めた目で見下ろす 『…この景色にも見飽きてしまったね』 そう呟いた白い仮面を被った男の後ろから また一人また一人と影をうつして出てくる 『うふふ、そうかしら? わたくしは、この景色お気に入りだったのだけど。残念ですわ』 そう、優雅に扇子を扇ぎながら着物を身に纏った女が呟く 『キャハハ。早く会いたいな!!あの方に』 ツインテールに結んだ髪にロリータファッション、右手にうさぎのぬいぐるみを握る少女はキャッキャとはしゃぎながら街を見下ろす 『チッ。それよりィさっさとヤろうぜェ』 そう呟いた男の肩にはこれまで殺してきた人の数が刻まれ、耳、鼻、舌、唇、へそには幾つものピアスがあけられ、男の周りには不気味な雰囲気が纏われている 『そうですね。この景色も今日で見納めですからね…、少し残念です。さあ、皆さん準備はいいですか?ふふ、ショータイムの始まりです』 パチンと指を鳴らし天使のような悪魔の笑みを浮かべ、ビルから飛び降りる男とそれを追って3人の影もニューヨークの街にへと消えていく 『“サイレンスキル”』 そう男が近くのビルに手を触れ、何かを呟いたのと同時にニューヨークの街全体がまるで灰のように人も街も空を飛んでる鳥も全部がサラサラと消えてなくなる 聞こえるのは男の狂ったような笑い声と女の甲高い声 『さあ、次に行きましょう。 ふふ、楽しみですね。あと、少しで会えますよあの方に』 そう、呟いて跡形もなくなった灰の舞うニューヨークに姿を消した
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