2話「芹沢先輩その1」

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 どうやら芹沢先輩は、規則重んじる系女子のようで、まあ確かにメガネとか委員長とかが似合いそうな容姿をしています。  きっと成績もいいのでしょう。人望もあるのでしょう。どうしてこんな、乙女の墓場に芹沢先輩がいるのか理解ができません。へるぷみー。  こんなにも石沢さんを恋しく思ったことはありません。石沢さんがこの場にいたら間違いなく、先輩に突っかかっているでしょう。  石沢さんは規則とかルールとか、そういうものを嫌う生物なのです。あ、でも石沢さんは物凄く馬鹿だから、芹沢さんに簡単に言い包められてしまうような……。 「とにかく今日からお世話になるね。わたし、どっちのベッドを使えばいいかな?」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆◆ ◆◆◆ ◆ 「そんなことがあったんですよ、石沢さん」  夕食の席で、四日振りに解放された石沢さんに、芹沢先輩と相部屋になったことを報告しました。  隣に座る石沢さんは「芹沢って誰?」と、ビーフシチューの入ったお皿に直接口をつけながら私を一瞥してきます。  やっぱり石沢さんの前世は犬かもしれない、そう思いながら「三年生ですよ」と答えると「とりあえず殴っとく?」というお返事が。 「ん、ん?」 「舐められるわけにはいかないだろ?」 「あれ?」  どうしてそういう結論に至ったのかわかりません。  馬鹿なのでしょうか。いや、馬鹿なのでしょう。テレビに出演している犬のほうがまだ賢いかもしれません。
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