2話「芹沢先輩その1」

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「なんじゃこりゃあ」  と言いたいところですけど、喉が麻痺してしまったのか声になりません。  私は向かいの芹沢先輩に助けを求めるべく、先輩に視線を向けました。先輩は「大丈夫?」と、廊下ですれ違ったときに浮かべるような、可憐な微笑をその端正な顔に貼り付けています。  おや? という既視感。そういえば前にもこんなことがあったような、なかったような……そうだ、思い出しました。  以前、東京バナナを食べたときにも、こんな感じの症状に見舞われて――――んでした。
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