プロローグ「山田さん失踪事件」

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「まったく、嫌になりますね」  これからわたしに降りかかるは、世にも恐ろしき生き地獄。  どうしたら、楽に死ねるかを考えて、早く殺してください、と哀訴嘆願する毎日。   それらを思えばここでの生活は幸せで、よくよく考えるとやっぱり不幸で、いやいやでもそれでも、側だけ見ればそこそこ幸せだったような気がしないでもない、例えるのなら幸福な悪夢の中で微睡んでいるような、そんな日々でした。  そしてわたしは、いつも彼女の咆哮で目を覚ますのです。  いいえ、今は違いました。  パンくずの魔女が、わたしの頭蓋骨と脳みそを咀嚼するその音で、目覚めるのです。  がりごりがり。 「お願いですから、早く殺してくださいね」  がり。
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