第4章 響く歌声

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「…?何で私に聞くの?」 「…あなたとセレは何でもないの?」 「?」 「…私はてっきり、あなた達が駆け落ちでもしたのかと思ったわ。 だからセレが王室に仕えるのを辞めて旅をしているのかと…」 「やだ、それは無いわ。ねぇ、セレ。」 ピアリはキッパリと否定した。 「あ、ああ…」 セレの返事は曖昧だ。 「…ピアリはまだ目覚めてないんだな…奥手なんだなぁ。」 思わずエルグは言ってしまった。 クスッとノーラは笑った。 「それなら遠慮なくお願いするわ。セレ、あなたはどこか私の婚約者に似ているの。 …キスをもらってもいいかしら?もちろん挨拶のキスよ。」 「それ位なら。」 そういうキスならセレにも躊躇(ちゅうちょ)は無かった。 ふっ、と頬に触れるだけの、一瞬で吹き過ぎる風の様なキスだった。 「ありがとう…。もし、また会う事があったら今度はノーラと呼んでね。」 ノーラはまた水を通って帰って行った。
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