第4章 響く歌声

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ノーラはその婚約者にまだ想いがあったのかもしれない。一瞬、寂しそうな顔になった。 「全てやり直しですね。今回の事、両親に打ち明けようと思います。」 「…どうなるの?」 ピアリは心配になった。 「父は優しいけれど正義感の強い人です。役人に訴えるでしょう。」 「罪になるだろう?」 エルグも心配そうだった。 「ええ…」 みんなの大切な想いのこもった品を盗んで心を傷つけた。時にはその身体にも傷を負わせた。 その罪は償わなければ… 「ここの法だと傷害と窃盗は鞭打ちだよ。みんなの前で…」 医者が言った。今では彼の怒りも消えていた。 鞭打ちの痛みと領民達の目…侯爵令嬢には過酷だ… 「それだけでみんなから許してもらえるとは思いませんが…」 ノーラの表情は暗いものでは無かった。むしろ晴れやかで美しかった。 「そんな事は無い!きっとみんなもわかってくれるさ!」 エルグは泣きながら言った。 「私は帰ります。もうここに来ることは無いでしょう。今まで本当にありがとう。」 ノーラはピアリを見た。 「ピアリ、最後にほんの少しセレにお願いしたい事があるのだけど、いいかしら?」
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