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「…?何で私に聞くの?」
「…あなたとセレは何でもないの?」
「?」
「…私はてっきり、あなた達が駆け落ちでもしたのかと思ったわ。
だからセレが王室に仕えるのを辞めて旅をしているのかと…」
「やだ、それは無いわ。ねぇ、セレ。」
ピアリはキッパリと否定した。
「あ、ああ…」
セレの返事は曖昧だ。
「…ピアリはまだ目覚めてないんだな…奥手なんだなぁ。」
思わずエルグは言ってしまった。
クスッとノーラは笑った。
「それなら遠慮なくお願いするわ。セレ、あなたはどこか私の婚約者に似ているの。
…キスをもらってもいいかしら?もちろん挨拶のキスよ。」
「それ位なら。」
そういうキスならセレにも躊躇は無かった。
ふっ、と頬に触れるだけの、一瞬で吹き過ぎる風の様なキスだった。
「ありがとう…。もし、また会う事があったら今度はノーラと呼んでね。」
ノーラはまた水を通って帰って行った。
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