第4章 響く歌声

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セレは診療所に戻ってピアリとルルグに、今見て来たノーラの様子を話した。 「立派だったよ。」 「俺は見てられなくて…」 エルグは伏目がちだった。 「ノーラさんはこれからどうなるの?」 「晴れて自由の身だ。盗んだ物も全部返したらしい。もう何の(とが)めも無い。」 「いじめられたりしないかな…」 ルルグはそれが心配だった。 「彼女には立派な両親がいる。今回のノーラの姿を見てもまだ何か言う者がいたら彼等が許さないだろう。」 「両親か…そうだよね…」 ルルグが呟いた。 「あなたの薬がもうすぐできるわよ。」 ルルグを元気づけるようにピアリが言った。 薬草類は乾燥させて、煎じたりアルコール漬けにしてある。 「私も動ける様になったし、また旅ができるわ。」 「もうすぐ収穫祭があるから、それまで居れば?」 医者が勧めた。 収穫祭は小麦の刈り入れが終わった今頃に毎年行われる。 医者としては、もう少し『働き手』を引き留めておきたかった。 セレは医者の仕事を良く手伝うし、魔法薬も作れた。 エルグは意外にも料理が上手だった。 せめて妻子が戻って来るまで彼等に居て欲しい、というのが本音だった。
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