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セレは診療所に戻ってピアリとルルグに、今見て来たノーラの様子を話した。
「立派だったよ。」
「俺は見てられなくて…」
エルグは伏目がちだった。
「ノーラさんはこれからどうなるの?」
「晴れて自由の身だ。盗んだ物も全部返したらしい。もう何の咎めも無い。」
「いじめられたりしないかな…」
ルルグはそれが心配だった。
「彼女には立派な両親がいる。今回のノーラの姿を見てもまだ何か言う者がいたら彼等が許さないだろう。」
「両親か…そうだよね…」
ルルグが呟いた。
「あなたの薬がもうすぐできるわよ。」
ルルグを元気づけるようにピアリが言った。
薬草類は乾燥させて、煎じたりアルコール漬けにしてある。
「私も動ける様になったし、また旅ができるわ。」
「もうすぐ収穫祭があるから、それまで居れば?」
医者が勧めた。
収穫祭は小麦の刈り入れが終わった今頃に毎年行われる。
医者としては、もう少し『働き手』を引き留めておきたかった。
セレは医者の仕事を良く手伝うし、魔法薬も作れた。
エルグは意外にも料理が上手だった。
せめて妻子が戻って来るまで彼等に居て欲しい、というのが本音だった。
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