第4章 響く歌声

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急ぐ旅ではない。ピアリにも、もう少し養生させた方がいいだろう。 セレは医者の勧めを受け入れる事にした。 そこに 「セレ、大変だ!」 食料品の買い出しに行っていたエルグが戻って来た。 「何かあったのか?」 「また盗みなんだよ!同じ手口で!」 「何だって!」 『水鏡』でまた物が盗まれたと言う。 「ノーラさんじゃないわ!」 「うん、絶対に違う!」 ピアリとルルグも否定した。 「本当に『水鏡』か?」 「みんなはそう思ってるぜ。」 「魔法は感じなかったな…」 近くで魔法が使われれば、セレにわからない筈は無い。 「見張ってみる。」 セレはその付近で1番高い木に登った。てっぺんに立って下を見下ろす。 かなり広範囲に見渡せた。 「こんな所から見られてるなんて誰も思わないだろう。」 きっと尻尾を出す、と信じて待った。 3時間程経った頃… 1羽のカラスが民家の窓にスイッと飛び込んだ。 くちばしに光る物をくわえて出て来た。 「あいつか…?!」 木から跳び降りてカラスを追った。 セレはカラスごときに置いてけぼりはくわない。 見失う事無く、一定の距離を保ってついて行った。
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