第4章 響く歌声

30/41
前へ
/266ページ
次へ
「人々はまたノーラがやったと思っている。今度は魔法封じは免れない。 これでもう足は動かせなくなる。 絶望に陥った彼女に僕が優しい言葉を囁やけば…」 「間違いなくノーラ様の心はレビン様のものになるでしょう。」 「うん、完璧だ!」 「明日は国の役人も来るのですか?」 「うん。私がノーラに縄をかけ、牢に入れるまでを見届ける者が必要なのだ。」 セレは生まれて初めて『人をぶん殴ってやりたい』と思った。 しかし、この医者が犯人だという証拠を見つけてノーラの無実を証明しなければならない。 まずは盗品を何処に隠しているかを確かめたかった。 「レビン様。お茶の時間でございます。」 女中らしき声がした。 「うん。今行く。」 人の気配が遠ざかる。 「よし…」 誰もいない事を確かめてセレは部屋に忍び込んだ。 落ち着きの無い色合いの絨毯が敷いてあった。 机にはノーラの写真。 その机に引き出しがあった。横1列に3つ並んでいる。 左から順に開けてみた。 1つ目は書類。 2つ目は薬類と香水。化粧品もあった。 3つ目… 「これだ。」 盗品と思われる貴金属が無造作に入っていた。
/266ページ

最初のコメントを投稿しよう!

368人が本棚に入れています
本棚に追加