第4章 響く歌声

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「これを役人に見せるのが1番いいな。」 どうやって見せるか…? ふと、レビンの外出用の上着に目が止まった。セレでも着た事の無い様な豪奢な仕立てだ。 そのポケットから麻縄がはみ出している。 エルグがセレに使った物と同じ(たぐい)の、魔法でも外れない縄だ。 明日、ノーラに掛けるつもりなのだろう。 「…いい事を思いついた。」 セレのいたずら癖がうずき出した。 夕方。 セレは診療所に戻った。 「どうだった?」 みんなが期待と不安のこもった声できいた。 セレは見て来た事を話した。 「お医者さんが…?」 「許せないな!」 みんなが驚いたが、特にエルグはすぐにでもレビンの城に乗り込みそうな勢いだ。 「で?どうするんだ?明日にはそいつがノーラさんを連れて行くんだろう?」 「大丈夫だ。まあ見てろ。」 そう答えたセレは何故か楽しそうだった。
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