第4章 響く歌声

32/41
前へ
/266ページ
次へ
翌日の朝。 ノーラの邸に馬車が来た。 レビン一行だ。 レビンとその従者、おそらく昨日チューレと呼ばれていた男。そして役人らしき人物の三人だ。 邸の周りには近所の村人たちも来ていた。もちろん、その中にセレ達もいた。 ノーラが両親に付き添われて出て来た。 レビンが前に出て、ノーラの手を縛ろうと上着のポケットからあの麻縄を出した。 だが… 「!?」 麻縄と数珠つなぎになったアクセサリーがジャラジャラと出て来た。まるで万国旗だ。 ブレスレット、ネックレス、指輪などなど… レビンの驚いた顔は見ものだった。目を見開き、口元がヒクヒクと動いている。 セレは笑いをこらえ切れなかった。 声が出そうになるのを必死に抑えていたが、肩が揺れていた。 「セレ…あんただな。」 「…」 エルグとピアリは呆れた顔でセレを見た。ルルグだけは楽しそうに笑っていた。 「…レビン伯…これは?」 役人が尋ねた。 「さ、さあ?何でこんな物が…」 レビンの額に汗が滲んでいる。 「ネックレス、ブレスレット…被害届のあった物ばかりですな…。」 「いや、私は何も知らない!」 「知らない…では済まされませんな。私と一緒に来て下さい!」
/266ページ

最初のコメントを投稿しよう!

368人が本棚に入れています
本棚に追加