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ノーラは濡れ衣が晴れて自由の身となった。
しかし外出する姿を見た者はいない。
「ノーラさん、大丈夫かしら…」
ピアリはずっとノーラの事が気になっていた。
もう少し励ませる事があれば…とセレも思っていた。
そこに医者が収穫祭のチラシを持ってきた。
「楽器の演奏や歌の得意な人を募ってるよ。」
「ピアリ、歌えば? ピアリの歌でノーラさんを励ませるんじゃないか?」
エルグが真っ先に勧めた。
「いいと思う。俺もヒターラなら少し弾ける。ピアリの歌の伴奏に丁度いいだろう。」
セレも賛成した。
ヒターラとはギターとリュートの中間の様な弦楽器だ。
セレの唯一の趣味だ。離宮に自分のものがあったのだが、荷物を増やしたく無いので置いて来てしまった。
「僕も何かやりたいけど、楽器は使えないなぁ。」
ルルグが言った。
「打楽器とか笛とか、少し練習すればできるものがあると思うわ。」
「笛か!笛がいい!」
「エルグは?」
「俺は遠慮しとく。食う事に専念するよ。」
エルグは多勢の前に出るのは好きではなかった。
「わかった。俺達は少し練習しなきゃな。」
セレは町に出て安物のヒターラと竹笛を調達した。
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