第4章 響く歌声

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収穫祭の当日。 ノーラの邸の庭に村人たちが集まっていた。 「この村ってこんなに人がいたんだ!」 ルルグははしゃいでいた。 美しい民族衣装をまとった人々で広い庭がいっぱいになっていた。 ノーラの父親が挨拶に立った。 領民の労をねぎらい、娘の事について謝罪した。 そして 「…だが、私は娘の事もみんなの事も信じている。 共にこの村をより良くしていこう!今日は存分に楽しんでくれ!」 と締めくくった。 村の代表者が乾杯の音頭を取り、収穫祭が始まった。 酒も料理もふんだんに並べられていた。 飲みっぷりも食べっぷりも見事なエルグはみんなから持てはやされていた。 村の楽団が音楽を奏で始め、人々が踊り出した。 ピアリとルルグも踊りの輪に入った。 旅の者でも快く受け容れてくれる寛容な村人たちだ。 セレはヒターラの調整をしていた。 作業をしながら領主の方を見た。 ノーラがいた。 普通に振る舞っているが、笑顔を作っているのが分かる。 「無理もない…」 …ピアリの想いが届くといい… セレは思った。
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