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「そろそろ出番だよ。」
係の者がセレ達を呼びに来た。
ピアリとルルグもちょうど戻って来た。
「さて行こうか。」
楽団席に着き、セレはヒターラのトーンをピアリの声に合わせた。
「こんなもんだろう…始めるよ。」
ヒターラが始まった。滾々と泉が湧き出る様な音色に人々が振り返る。
ルルグの笛も哀愁のあるいい音を奏でていた。
そして、ピアリの歌。
「…風が曲がれば…運命の変わり目…
…追い続けても…永遠に巡る…
…それでも心は…」
広場がいったん静まり返り、その後はざわついた。
「誰?」
「何て良い声なんだ…」
「夢のよう…」
優しく可愛らしい声なのに、力強さもありよく響く。何よりもあふれる情感…
人々の心をあっという間に魅了する。まるで「歌の魔法」だ。
曲はセレ達の国のもので
「何があっても、私はあなたの味方です」
という意味の詩だ。
元々は戦地に赴く人々へ向けての歌だが、ピアリはアレンジを加えた。
『永遠の味方が此処にいる事を…何処に行っても…親愛なる同士よ…』
の原詩を
『永遠の味方が此処にいる事を…何処に行っても…元気な姫君よ…』
と歌った。
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