第4章 響く歌声

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「そろそろ出番だよ。」 係の者がセレ達を呼びに来た。 ピアリとルルグもちょうど戻って来た。 「さて行こうか。」 楽団席に着き、セレはヒターラのトーンをピアリの声に合わせた。 「こんなもんだろう…始めるよ。」 ヒターラが始まった。滾々(こんこん)と泉が湧き出る様な音色に人々が振り返る。 ルルグの笛も哀愁のあるいい音を奏でていた。 そして、ピアリの歌。 「…風が曲がれば…運命の変わり目… …追い続けても…永遠に巡る… …それでも心は…」 広場がいったん静まり返り、その後はざわついた。 「誰?」 「何て良い声なんだ…」 「夢のよう…」 優しく可愛らしい声なのに、力強さもありよく響く。何よりもあふれる情感… 人々の心をあっという間に魅了する。まるで「歌の魔法」だ。 曲はセレ達の国のもので 「何があっても、私はあなたの味方です」 という意味の詩だ。 元々は戦地に赴く人々へ向けての歌だが、ピアリはアレンジを加えた。 『永遠の味方が此処にいる事を…何処に行っても…親愛なる同士よ…』 の原詩を 『永遠の味方が此処にいる事を…何処に行っても…元気な姫君よ…』 と歌った。
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