第4章 響く歌声

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ノーラは気付いた。 「……!」 涙が止めどなく溢れた。 曲が終わり、ピアリ達は拍手喝采を浴びた。 「もう一曲。」 ピアリは今度はこの国のみんなが良く知っている歌を歌った。 春から夏にかけて、この国のいたる所に見られる小さな花に寄せて恋心を綴った陽気な歌だ。 段々とみんなが声を合わせて、いつの間にか大合唱になっていた。 ノーラも口ずさんでいた。 やがてクライマックスを迎え、指笛、歓声、拍手の中に、ピアリの歌は終わった。 収まらぬ興奮。 ピアリの頬も紅潮していた。 ノーラが笑顔になっていた。 もう作り笑いではない。自然な微笑み… ピアリは『頑張ってね!負けないでね!』と呟きながらノーラを見つめた。 ノーラが頷いて手を振った。 ピアリは力いっぱい手を振り返した。 「セレ!見て!ノーラさんが!」 セレとルルグも手を振った。 …想いは届いた様だ…
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