第4章 響く歌声

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収穫祭は終わった。 セレ達は出発しなくてはならなかった。 だが、ローエンとの約束の1ヶ月が経った。 ピアリが旅を続けるかどうかを決めなければならない。 「私は大丈夫よ。このまま旅を続けたい。お母さんに会うのも諦められないわ。 ねぇ、いいでしょうセレ?帰れなんて言わないよね?」 「……」 無理だとは思わない。ピアリはセレが思っていたよりずっとタフだ。 だが心配なのだ。セレは迷っていた。 たかだか1ヶ月で随分と色々な事があった。これからもっと大変になるだろう。 本格的にフィズを狙って来る奴等もきっと現れる。 「お願い!私は今がとても楽しいの!」 「セレ、僕ももっとピアリと一緒にいたい。」 ルルグはピアリが大好きだ。 「…エルグ。ちょっと話したい事がある。いいかな。」 「ああ。」 セレはエルグと庭に出た。 この旅が始まった理由を話した。 自分が王家の出身で、死者とされている事… フィズが造られた理由とその力の恐ろしさ… それを宿す事になった経緯… ピアリと一緒に旅をする事になった理由… などなど、話さなくてもいい事まで話した。 セレは今ではエルグを心から信頼していた。
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