第4章 響く歌声

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「今更何を言ってるの? 私が旅に出たかったのはお母さんに会いたいから、というだけではないわ。 何が起こるかわからない毎日が楽しいのよ!」 …何だ、セレとピアリはそっくりじゃないか…とエルグは思った。 「…それに、これ…。」 ピアリは以前セレが渡したペンダントを手に取った。 「気に入っているのよ。ありがとう。…あなたは私を心配してくれているじゃない。それだけで充分よ。」 ピアリは全く気付いていないが、何気ないこんな言葉がセレの心を鷲掴みにする。 「…良くわかった。それなら何の問題も無い。一緒に旅を続けよう。」 「やった!」 「良かった!」 ピアリとルルグは手を取り合って喜んだ。 「では、ローエンに手紙を書かなくてはね。」 ピアリが元気な事や新しい仲間が増えた事。旅が楽しく順調な事… ローエンが安心できる様な文章にまとめよう… 「私、みんなと離れたら寂しくて死んでしまうかもしれないわ。」 ピアリが真面目な顔で言った。 「それは大袈裟だな。」 セレはそう言ったが 『寂しくて死にたくなるのは俺かもしれない。』 と胸の中では呟いていた。
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