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セレは高価な装飾品を持っている。
だが、ほとんどが両親や弟、ヴァシュロークから贈られた大切な品だ。安易にそれらを売ろうとは思わなかった。
金貨も持っているが、今の身なりで出したところで『何処で盗んだ?』と言われるのがオチだ。
村落が見えてきた。今度の村の方が人が多い。農家の規模も大きい。
「農場で働くのもいいかもな。」
セレもエルグも体を動かすのは大好きだ。
どこで働こうか…と村を見ていて目に付く物があった。
どの家にも戸口や窓の辺りに、小皿に入れた白い粉が置いてある。
「砂糖?塩?それとも小麦粉…?」
「何か意味があるのかしら?」
そんな話をしながら、ある家の前を通り過ぎようとした時
「小麦ってのは昔から石臼挽きが1番て決まってるんだ!」
「臼は使うさ。機械で動かすだけだ!」
「そんなの機械油で臭くて食えるか!風車に限る!」
「いい加減にしろよ!時代遅れもいいところだ!」
「何だと!」
怒鳴り合う声。
そして、ガシャン、ドスン、と大きな音。喧嘩になっているらしい。
いきなりセレ達の目の前のドアが開いて男が飛び出して来た。初老に見える。
その人物目掛けて、あとから出て来た男が殴りかかった。
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