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「それはいいわ。…でもあまりお金はかけられないわ。」
「金は要らないよ。少々、手間がかかるだけだ。」
「何を贈るの?」
「魔法の風をね。『風の最高魔法』を披露しようと思うんだ。ピアリは知らないんだっけ?毎年、王宮で豊穣祈念の儀式の時にやるんだよ。」
「豊穣祈念?…一度だけお父さんに連れて行ってもらったわ。すごく気持ちいい風を浴びたのは覚えているわ。」
「それだよ。」
「でも、あれは国王陛下と4人の魔法使いが揃わないとできないんじゃない?」
「本当はね。東西南北のそれぞれの風を1人ずつが受け持つんだ。
4人が世界の各地から集めた風を、最後に調合するのが国王なんだよ。
それを1人でやるのはちょっと大変だけど…何とかするさ。ジンとルーチェのお祝いだ。良い風を造らなきゃね。」
その日から、セレは毎晩、夜空の下で呪文を唱えていた。
前々から、みんなが寝静まった後にいつもセレが魔法の勉強をしているのは知っていた。
でも、それとは違う。
「風を集めているんだ。」
と、セレは言った。
最高魔法なんて使える者はそうはいない。滅多に見られるものではない。
…どんな風を造るんだろう…
ピアリも楽しみになった。
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