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儀式的なものがひと通り済んだところで、セレは2人の傍に行き心からの祝辞を述べた。
そして
「プレゼントを用意したんだ。今日の君達の為に、今から最高の風を贈るよ。」
と言った。
「風を…?」
ジンが不思議そうにきいた。
「世界中から3000種類の風を集めて周りに留めてあるんだ。今、調合して流すから、数分間待っていて。」
「3000…!?それはすごい…うん。」
セレは呼吸を調えて精神を集中し、呪文を唱えた。
風が穏やかに吹き始めた。
ただの心地よい風…だと最初は誰もが思った。
その内に、風が全身を通り抜けて行くのを感じた。
心の中までも吹き抜ける…
身も心も、すっきりと老廃物が取れて清涼になって行く…
いつの間にか、呼吸も深くゆったりとなっていった。
…鎮静、安らぎ、満ち足りた感覚…
そして歓喜。
…中には感極まって、涙を流す者さえいた。
この不思議な風の中では、負の感情は消え失せる。争い事など絶対に起きないだろう。
静かに、歌うように、呪文を唱え続けるセレの姿は神々しささえ感じられた。
…風は、10分程で止んだ。
人々は夢から覚めた様に、ざわめき出した。
「…一体、今のは…」
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