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「風の最高魔法だよ。
『緑の風』…セレシュヤーデ。
俺の名前はここからつけられたんだ。」
『ヤーデ』は常緑樹の意味もあるので『常緑風』と言った方がいいかもしれない。
「最高魔法…」
「自然界の全てを含んだ風さ。
世界中の風を集めて、全体のバランスを見ながら最高の感触になるように調節するんだ。
そうすると、どういう訳か不思議な浄化作用が生まれる。
でも、風は流れている間にどんどん変わって行くから、常に微調整しなければその浄化作用が保てないんだ。
…風のオーケストラだな。指揮者は演奏が終わるまで、一瞬たりとも気が抜けない。」
見ると、セレの首筋に薄っすらと汗が滲んでいた。
暑い工場で労働をしていても、ほとんど汗などかかないのに…
「セレ、ありがとう。僕は有り得ないほど幸福だよ…。この気持ちは何て表したらいいのかわからない…」
ジンとルーチェの溢れる笑顔が、一層みんなの祝福ムードを盛り上げた。
もちろんセレも…
「そう言ってもらえると嬉しいよ。時間をかけて用意した甲斐があったな。」
ただただ末永く、幸せであって欲しいと思うばかりだった。
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