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結婚式から数日が経ち、セレ達は出発の準備を始めていた。
しばらく旅ができる位の資金もできたし、工場の仕事量も落ち着いて来た。
「あの風はすごかったね…あの後、野菜類の生育もとてもいいんだよ。…君、ここにとどまらない?王様に紹介してもいい。」
ラドニーは言った。
「いいえ、ピアリの母親をさがす為の旅ですから。…それに旅は楽しいですよ。」
セレはそう答えた。
でも、この旅にも終わりは来る。無事に目的を果たしてピアリをローエンの元に帰したら…
「俺の気持ちをピアリに伝えようと思う。」
セレはジンにだけ、打ち明けた。
「やっと『好き』だって認めたんだね。…早く告白すればいいのに。旅が終わるまで待つ事無いよ。」
ジンが言った。
「ピアリの父親との約束は守らなきゃならない。やっぱりこの旅の間は、俺は彼女の保護者だよ。」
「王侯貴族は固すぎるなぁ…セレの素顔はやっぱり王族なんだね。
セレは『俺』よりも『私』の方がしっくりする。いつもは『平民の自分』を演じてるんじゃない?」
…ジンの目は本質を見抜いてしまう…
「君の事はごまかせないな…そうなんだ。ちょっと気を抜くと王族の自分に戻ってしまう…。」
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