第5章 風車小屋と竜

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結婚式から数日が経ち、セレ達は出発の準備を始めていた。 しばらく旅ができる位の資金もできたし、工場の仕事量も落ち着いて来た。 「あの風はすごかったね…あの後、野菜類の生育もとてもいいんだよ。…君、ここにとどまらない?王様に紹介してもいい。」 ラドニーは言った。 「いいえ、ピアリの母親をさがす為の旅ですから。…それに旅は楽しいですよ。」 セレはそう答えた。 でも、この旅にも終わりは来る。無事に目的を果たしてピアリをローエンの元に帰したら… 「俺の気持ちをピアリに伝えようと思う。」 セレはジンにだけ、打ち明けた。 「やっと『好き』だって認めたんだね。…早く告白すればいいのに。旅が終わるまで待つ事無いよ。」 ジンが言った。 「ピアリの父親との約束は守らなきゃならない。やっぱりこの旅の間は、俺は彼女の保護者だよ。」 「王侯貴族は固すぎるなぁ…セレの素顔はやっぱり王族なんだね。 セレは『俺』よりも『私』の方がしっくりする。いつもは『平民の自分』を演じてるんじゃない?」 …ジンの目は本質を見抜いてしまう… 「君の事はごまかせないな…そうなんだ。ちょっと気を抜くと王族の自分に戻ってしまう…。」
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