368人が本棚に入れています
本棚に追加
/266ページ
だが、ヴァシュロークは人の心を操る魔法は好きではない。
「セレは常々『強くなりたい』と言っていたから、その心を利用した。そして『生きる事への執着』を少し付け加えた。」
…それだけだ、とヴァシュロークは言っていた。それで、あの弱々しかったセレが力強く歩き始めた。
物事の要を見極めるヴァシュロークの眼力には恐れ入る。
「ヴァシュローク様は全てお見通しだったのだな…」
ローエンは一人うなずいた。
セレとピアリは初夏の森を楽しみながら歩いていた。
2人とも、まだ何も知らなかった。
これから出逢う色々なこと、様々な人…
セレとピアリがずっと一緒に生きて行く事になるのも…
『セレの選択が正しかった』
とわかるのも、まだずっと先の話だ…
最初のコメントを投稿しよう!