第1章 目覚め

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だが、ヴァシュロークは人の心を操る魔法は好きではない。 「セレは常々『強くなりたい』と言っていたから、その心を利用した。そして『生きる事への執着』を少し付け加えた。」 …それだけだ、とヴァシュロークは言っていた。それで、あの弱々しかったセレが力強く歩き始めた。 物事の要を見極めるヴァシュロークの眼力には恐れ入る。 「ヴァシュローク様は全てお見通しだったのだな…」 ローエンは一人うなずいた。 セレとピアリは初夏の森を楽しみながら歩いていた。 2人とも、まだ何も知らなかった。 これから出逢う色々なこと、様々な人… セレとピアリがずっと一緒に生きて行く事になるのも…   『セレの選択が正しかった』 とわかるのも、まだずっと先の話だ…
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