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『タローせんせー、起きてますかー?』  不意にどこからともなく名を呼ばれ、僕は体を起こした。  側に置いていたVR(バーチャルリアリティ)ゴーグルをかけると、目の前に呼び出し人が現れた。僕の担当の編集者だ。 「お疲れ様です。原稿の進行具合はいかがですか?」 「うん、あと一息かな。それよりまたいくつかアイデアが浮かんだんだ。聞いてくれますか?」 「えっ、アイデアって……。先生、まだオリジナル作品を描こうとしてるんですか?」 「もちろんです。今度のは自信あるんです」  担当の口からため息が聞こえたが、構わず僕は書き留めていたプロットを読み上げた。 「時は大銀河時代、宇宙の果てにあると言われているどんな願いも叶えられる八つの宝を求めて宙賊達が激闘を繰り広げ--」 「それ、舞台を宇宙にしてドラゴボとワンピを合わせただけですよね?」 「時は3XXX年。人類の増加と大災害により食料難に陥ったため、二人のハンターがまだ見果てぬ食材を探しに旅に出--」 「北斗とハンタと鳥子入ってますね」 「突如、空から巨大な生物が飛来し、人類に襲い掛かり--」 「テラフォと巨人が進撃するやつですか?」  やはり、というか予想通りことごとくディスられた。 「あのさ、いちいち他の作品を持ち出さないでくれるかな。これは正真正銘、僕の考えたオリジナルの作品であって」 「やれやれ……このやり取りも何度目ですかもう……」  再び深いため息をつくと、担当は早口でまくし立て始めた。
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