15人が本棚に入れています
本棚に追加
「城崎(しろさき)さん、こういう雰囲気のいいところよく通ってるんですか?」
大通りから外れた小道にあるバー。
月もとうに真上、夜21時すぎ。
街灯はあるにせよ、そこまで人通りはない。
隣にはタイトワンピースを着たまあまあな美人。
プライド高そうだけど・・・まあ合格でしょ。
「ここのバーは初めてだよ。そこまでお店は知らないしね」
ひどく機嫌が良さそうな彼女の腰に手を回して、そのバーへと促した。
外観は蔦つきのレンガ。2階もあるっぽい。
入り口の右側にそっと蔦に埋もれながら看板がある。
「〈BAR〉って・・・そのまんまなんですね。でもわかりやすくていいかも」
なんのひねりもない店名。
外から店内の様子は見えなくて入りづらい雰囲気はあるが、入り口の両側にある橙色のランプが暖かい雰囲気を醸し出している。
「ーーーいらっしゃいませ。お二人様でしょうか」
扉を開けてみれば、正面のバーカウンターにいた随分と柔和な顔つきをした男性がこちらに微笑んできた。マスターらしい。
店内はそこまで広くないせいか、客で席はほとんど埋まっている。
もう少しタイミング悪かったら座れなかったな。あぶない。
某グルメサイトで〈隠れ家バー特集〉で載ってたこのバー。
そして昨日いきなり決まった今日の予定。
元々交友関係は広いほうだ。大学時代の女友達から、連絡先を知り合いの子に教えていいか聞かれ、ついOKしただけ。
気づけば昨日初めて連絡を取ったというのに、翌日の今日には2人きりでこうして会うことになった。
しばらくカクテルで当たり障りのない会話のキャッチボールを楽しむ。
「ちょっとごめんなさい。お化粧室は・・・」
「あちらになります」
「ありがとう」
ポーチらしきものを持ってトイレへ立つ美人ーーーたしかアミだっけな。そのアミの後ろ姿をちらっと見る。
腰からケツにかけてまでの曲線。タイトスカートの丈は膝上5センチ。そこからのびる膝下。ふくらはぎの形。
んー・・・
「イマイチ」
今夜も不作決定。
最初のコメントを投稿しよう!