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「家ってどのへん?」
「黙秘権って使えます?」
「でも俺の自宅を知ってるんだからイーブンじゃ、」
「ナイデスネ」
重い溜息をつきながら、肉まんを頬張る彼の横に並んで一緒に歩き出す。
バイト終わりなら彼の私服も見れるんじゃないかと思って待ってみたら、見事ビンゴである。
いつもはバイトの制服姿ごしの下半身しか見てなかったけど、今は私服であるデニムごしに彼の下半身を拝めている。しかもサイズがタイトめ。
ちなみにマスターにはお会計のときに耳打ちでそれとなく伝えといた。
きっとだから彼も閉店時間からそれほど経たずに店を出ることができたんだと思われる。マスター本当にありがとうございます。
「言っときますけど、あんたの家のような立派なマンションとかじゃないんで」
「ん?気にしないで。ただの興味本位だし」
「・・・その返答も返答で腹立たしいですね」
どうせ大学生の一人暮らしの家なんて大体アパートだ。
そういう意味をこめて返答したら、なぜか彼の青筋とこんにちは。
にしても眼福眼福。
幸いにも、丈が短めのコートを着てくれているおかげで彼のケツから足先まで視姦することができている。
「・・・なんでさっきから若干俺の後ろを歩いてるんですか」
「ん?」
「なんか後ろ歩かれると落ち着かないんですけど」
君のケツを見るためです、なんて正直には答えません。大人なんで。
そのまま横を歩きなが気づかれないように彼(の下半身)を見ながら、20分ほど歩いた。
え、もう??
「ここです」
「わあ、BARから近いんだねえ。てかうちと真逆方向」
「残念でしたね。帰るの面倒で」
「ん?謎に包まれる結野くんの生活空間を垣間見れて結構今わくわくしてるよ、・・・ってねえ、そんな引いた目で見ないで」
正直帰るのが遅くなるとかどうでもいい。もっと遠くてもいいくらいだ。
ああ、名残惜しい。
彼が住んでいる普通の2階建てアパートの前に二人で佇み、小さく息をはいた。
これ以上は怪しまれる。
「じゃあ、今日はありがとう。もう寒いし家に入って」
「それあんたが言いますか」
「ははは、俺の風邪はもう治ったし、君にうつしてないか心配でさ」
「そういう意味じゃなくてって・・・まあ、もういいや。こちらこそ肉まんありがとうございました。それじゃ」
ああー・・・行ってしまわれたマイエンジェル(尻)・・・。
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