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「いやあ、今日もうまい酒が飲めて最高だよ。結野くんも一杯どう?」 「結構です。」 つれない!! 一先ずは悩みの種がなくなり、自分で言うのもあれだが上機嫌です。 今日は得意先と会食があり、それが終わってからBARに来ていた。 幸い、会食の方がそんなに時間をとられずに滞りなく無事終わったので、いつもより遅い時間ではあるが、彼のことがふと頭に思い浮かんだのだ。 「・・・珍しく遅い来店でしたのでもう閉店時間ですよ」 「ん?ああ、仕事で最初一軒飲んできたからねー」 「いや、そういうことじゃなくて、ラストオーダーも終わりましたし、早くお会計を」 それなのにこのつれなさである。 来るのが遅かったせいもあるが、今日はまだ彼と充分にコミュニケーションをとれていない。 「まあ、もうお客さんも誰もいませんのでゆっくりしていってください」 「あれ?もう俺だけだったんだ。気づかなかった、すみませんマスター」 「そうですよ、この人を甘やかしてはだめです」 「ちょっと結野くんとマスターを足して2で割ってみない?」 マスターがカウンターに出ているグラスを下げながら、人懐っこい笑顔を向けてくる。 もう片方側からは射殺さんばかりの視線を感じるが、俺はもうそれをスルーできちゃうほどアルコールが入っているんですね、はい。 「ははは、でももう悪いんで本当にお会計お願いしますね」 「お気遣いありがとうございます。・・・あ、せっかくだから結野くんもう上がっちゃっていいよ。城崎さんと帰ったら?」 「マスター、せっかくだからの意味がわかりません。そもそもなんで俺がお客さんと一緒に帰るんですか」 「え?この前も城崎さんが待っててくれてたんでしょ?」 「・・・マスターに言ったんですか」 「HaHaHa」 わあ、こわい。 キョトン顔のマスターに対して苦虫を?み潰したような顔をしている彼が睨んでくる。 この前マスターに耳打ちして取り計らってもらった件がもうバレました。 「・・・はあ。この前もおかしいと思いましたけど。マスター、この人はそういうんじゃないんですからね」 「そうなの?結野くん、城崎さんが来ると機嫌がいいからてっきり・・・」 「? そういうんじゃってなあに?」 アルコールが本格的に回り始めたせいなのか、会話の内容が理解できない。 問い返すと、重くため息をつかれ、マスターには苦笑いを返された。
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