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「お次、何にしますか」
アミの後ろ姿に点数をつけようとしていたら、バーカウンターの方からやけに不愛想な声が聞こえた。
顔をそっちに戻すと、黒髪を後ろになでつけ、お世辞にも良いとは言えない目つきの若者。
視線は全く合わないが、「早く注文しろよ」という声が聞こえそうなほど不機嫌な表情をしているし、さっきの声が不愛想すぎる。
・・・きっともっと愛想良くすればモテそうなのに。
強面だけど顔立ちは整っているように見える。
思わず凝視していたせいか、一向に合わなかった視線が、彼がこちらを窺ったせいで交わった。
「ごめん、同じものをお願いできるかな?」
「・・・畏まりました」
愛想笑い全開で言えば、ふいっとすぐ目線をそらされ、オーダーを作るためか背を向けられた。いっそ清々しい。
そのままバッグの棚からウイスキーボトルを出して、新しいグラスに注ぐ。
・・・あ。
腰に巻いてある長めのエプロンから黒のスラックスが見える。
きつく巻いているエプロンのせいか、ケツのラインが丸見えで・・・、
「とってもイイ。」
「・・・なにか仰いましたか」
「うん。けどこっちの話だから」
怪訝な顔をした若者、バーテンくんに構わずその彼の体のラインに集中する。
なんだこれ。腰は細く、ケツはツンと上に向いてほどよい肉付き。
それが故にしなやかにくびれたウエスト。
脚のラインはエプロンに阻まれて見えないが・・・期待大。というか見たくて仕方ない。
彼がマドラーを回すたびに自然とそれと連動して腰が揺れ、なんとも魅惑的。
「すいません、お待たせしました。城崎さん、つまらなかったでしょう?・・・城崎さん?」
「・・・ん?ああ、アミちゃんがいなくて退屈だったよ。ほら、飲んで」
気づけばアミが戻ってきていたらしく、取り繕うように愛想笑いをし、彼女が飲んでいたカシスオレンジのグラスを勧めた。
それでもずっと前方の魅惑的な光景から目を離せない。
彼がこちらに背を向けるたびに釘付けになってしまう。
身長はきっと180・・・はないかな?でも腰の位置が高い。
きっと脚は長いんだろう。スラックスの下の脚に思考が奪われる。
酔っているわけではないのに、変な高揚感に気持ちがずっと落ち着かない。
下にある何かを取ろうとして彼が腰を突き出した態勢でかがんだときは、もう自分でも言いようのない感情に陥った。
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