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「では、今日はどうしましたか?」
「や、あ、あの・・・ちょっとその調子が悪くて・・・」
「どこらへんの?」
もうちょっと気を遣ってよ医者あああああああ!!!
時は流れて今は土曜の午前。
待ちに待った診療である。
最寄りの泌尿器科が徒歩圏内にあって助かった、と安易に来たのが間違いだった。
まず受付の女性に「今日はどのような症状で?」って訊かれて地獄を体験。
ごにょごにょ誤魔化したらとりあえず初診のアンケートを書かされて待合室に通された。
やっと診察室に通されたと思ったらこれ。看護師がいるのは想定できたけど、受付とは違って年配の女性かと思ってたら20代半ばの綺麗な看護師さん。
死にたい・・・。羞恥心でライフポイントが0・・・。
できるだけ小声で症状を伝えると、納得した医者が看護師に退室するように伝えて、現在診察室には俺と医者の二人だけとなったわけである。最初から察してくれ、ほんとに。
「勃起不全の疑いということですね?詳しくお聞きしていいですか?」
「あ、え、はい。最近AV見ても全く勃起しないようになっちゃって・・・」
室内に女性がいなければこっちのもんである。
今週も一度検証をしてみたが、結果は惨敗。
細かく伝えていると、頼みの綱であるお医者さまはどんどん難しい顔になっていった。
「大体把握しました。では、最近いつ勃起しましたか?射精は?」
「・・・えっと・・・、」
そういえばいつだっけ・・・。
あれ、最近したよな、自慰。
・・・ビール飲みながらテレビ見てて・・・
・・・・・・水着の女の子見て・・・
・・・・・・・。
――――結野くんの生尻想像して射精したんだった。
都合よく忘れていたことを思い出して、ハッとした。
「どうしました、城崎さん。顔色が・・・」
「あの・・・つい最近勃起してちゃんと射精したんですよね・・・。男の・・・知り合いを想像して・・・」
心配した医者にすがる思いでこう吐露すると、しばし思案した医者は俺と向き合っていた体を違う方向に向けて、ついには視線も外した。
「・・・そうですか。勃起不全ではないみたいですね。何か他の病気でもないと思いますが」
どうやら地獄はここからだった。
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