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現状、自分にすべきことは何もない。 最近悩みに悩んだので、すっきりするためにも今日こそはBARに行こうと思う。 実際、彼に会ったところで、何も変わらないのである。 「・・・ついに犯罪に巻き込まれて行方不明にでもなってたと思ってたのに」 「心配で心配で夜も眠れなかったって?」 やれやれ、たかだか数日来店しなかっただけでこの熱烈歓迎である。 「誰かさんが来店してないおかげで余計なストレスを抱えてなかったんで、ここ数日は9時間睡眠でしたね」 「寝すぎも体には毒だって言うからね。今日あたりは7時間睡眠くらいになって健康的になるんじゃないかな」 氷点下並みに冷えた目線を送られて、いつもの特等席についた。 ああ、安心すーるー。 すぐに出てきたウイスキーに、さらに体から力が抜けた。 現在21時。 それなりに残業をしてここへ来た。 そして最近はリフレッシュできていなかったせいか、やけに今日は倦怠感がひどい。 知らず知らずのうちにため息をついていたら、結野くんがすっとメニューを出してきた。 「何か食って金を落とせってかい?」 「目の下に隈作ってため息つかれるくらいだったら、エネルギー供給したらどうかと」 「あれ、そんなにひどいかな?」 たしかに最近はあんまり眠れてなかった。 加えて、仕事も仕事でまあまあ忙しかったからなあ。 思わず苦笑してると、勝手にペペロンチーノ風枝豆を頼まれてしまった。 客にオーダーきかないスタイルなのかな?んん? 「あんまり消化にいいメニュー少ないんで、我慢してください」 「ん、結野くんの手作り料理の方が食べたいかな」 「・・・」 この前食べたあの優しい味が恋しい。 思わず言うと、顔をそらされてスルーされた。めんどくせえこと言うなってことかな、うん。 「・・・また風邪でもひいたら作ってあげてもいいですよ」 「なら今からインフルにでもかかってくるよ」 「・・・」 またしてもなぜか顔をそらされた。なぜなんだ。 枝豆を食べながら、アルコールを煽った。
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