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「・・・大丈夫ですか。目があんまり開いてませんが」
「あ、ああ。うん。ちょっと飲みすぎたかも、」
「大分足元怪しいですね。ていうかもう着きました」
そんなにボロが出ないようにしていたら気づいたら彼のアパートまで着いていた。
さすがに急にテンションダウンした俺を怪しく思った彼が、顔を覗き込んでくる。
わー、いつも睨んでくる目が今日は優しいなー・・・。
「・・・本格的に怪しくないですか。不本意ですけど、うちで水でも飲んでってください」
「ん?結野くんの家?」
これは夢か。いつにもまして優しい言葉をかけられているような。
でもなあ。彼をオカズにしていまっている状態で彼の家に入り込むのはまずいよ。
「ほら、まだかろうじて歩けてるうちで酔いを覚ましてください。まったく、迷惑な」
ボーっとしてきている頭で葛藤していると、グイっと腕を引かれた。
え、指、ほっそ・・・・
「・・・なに人の手つかんでるんですか。」
「結野くんの指きれいだなーっておもって」
「・・・セクハラ癖出てるってことは相当酔ってますね」
いつも俺の酒を作ってくれるときにグラスやマドラーを持つ彼の指を綺麗だと思っていた。鋭い顔つきからは想像つかないくらい繊細の指。整えられた短い爪。
その指をふにふにといじっている。
なんだこれ、やわらかい。
指の柔らかさを堪能していると、そのまま彼にひっぱられ、気づいたらアパートの一室に。
にしても柔らかい。そのまま手のひらもふにふにしていると、手を払われた。
「触りすぎです。変態」
「だって結野くんの手綺麗だったから」
「いや、ちょ、言ってるそばから手をいじらない!」
「ん~、すべすべで冷たくて気持ちいい・・・」
彼の手をつかんで頬ずりするとひんやりとして気持ちいい。堪能していると、片方の手で器用に冷蔵庫を開け、中から飲料水を出した結野くんが、もう片方の頬にそのペットボトルをくっつけてきた。
「ん、冷たくて気持ちいいー」
「とにかく水分とって」
促されるまま水を飲むと、そのままペットボトルを受け取った彼も飲む。
ぼーっとする意識の中、その光景を見る。
飲み終わった唇が液体で湿っているのが目に入った。
「・・・くちびるもやわらかそうだねー」
「は?―――ってなに、っ!?」
そして気づいたらその唇めがけて自分の唇を押し当てて感触を楽しんでいた。
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