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わかっていた。
いくら考えてもはっきりしない自分の考えとは裏腹に、今でも切れそうな彼との繋がりに焦って焦って、仕事にも身が入っていなかった。
察してくれていた真田に毎日のように外に連れ出されていても、気のない返事しかしていなかったような・・・。
「ごめん。悩み事っていうか・・・やらかしちゃったっていうか」
「・・・まさか犯罪?!」
「違うから!!!」
素直に謝ったのにとんでもない勘違いをしてこっちを蔑んだ目で見るとはどういうことだよ。
「じゃあなんだよ。」
「だから・・・、うーんと、なんて言ったらいいか迷うけど・・・、嫌がっている相手を俺が押し切って、」
「だからそれ犯罪だろ!?」
「違うって言ってんだろうが!!話を最後まで聞けよ!!」
「なら最初からまどろっこしい言い方やめろよ!?今のは誰が聞いてもアウトだろ!!」
「~~っ、ああああっ、もう!!!つまりは嫌がってる男に盛って嫌われたんだよ!!」
「だからどっちにしろ犯ざ、ぃ・・・え?おとこ・・・?」
「・・・」
終わった・・・。
怒鳴りあいの延長でカッとなってしまったのが運の尽き。
案の定、固まってしまった同僚に更に気分が急降下した。
でも、思わず言ってしまったとはいえ、もう自分だけで処理するのも限界だった。
もうこの際どうでもいい・・・。この2週間何も進展してない・・・。
同僚にすべきじゃない話をしようとしている自覚はある。
けど、それ以上にもう限界だった。色々と。
「念には念を押して言っとくけど、俺は今まで女としか恋愛をしてこなかった。性癖は尻フェチ。なんなら下半身全部好きだね。桃尻から太ももにかけてのカーブとか、きゅっと締まった足首とかまじでエロイとか今は省くけどとにかく今までの彼女たちはそういう対象で選んでいたわけだ。ところどっこい。婚活に本腰を入れようとしていた矢先にこれ以上ない、至高の下半身に出会ってしまった。そしてその下半身は同性のもので、なんなら学生。おい、別に犯罪を起こしているわけじゃないんだからそのスマホで通報しようとするのはよせ。俺だって戸惑ったさ。でも泌尿器科にまで通院してわかったことだけど、俺のこの愚息はもう彼にしか反応しないらしい。」
「・・・。」
わかってる。自分がどんだけ気持ち悪いことを言っているかなんて。
だからそんな蛆虫を見るような目で見ないでくれ。頼む。
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