第2章 最後の訪問者

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「それぞれの国には、帝王、隊長、副長、兵長、守護兵、隊士、民間兵が順に存在します。帝王は人前に顔を出すことがあまりないため、実権は隊長に委ねられていますけどね」 続けて説明された言葉に驚きを隠せない。なぜなら、さっき文句を言ってしまった相手は『隊長』と呼ばれていたのだから。 「そう言えば、自己紹介がまだでしたね。順序が逆になってしまい、申し訳ありません。隣に座るのが、我が火の国隊長の紅夜(こうや)、僕が副長の輝火(かがほ)です」 爽やかな笑顔で自己紹介されるが、この国のトップとナンバー2と話していたことに驚いてしまう。 「私は香恋(かれん)彩上(さいじょう)香恋(かれん)と言います。普通に暮らしていたのに気付けばここにいて、正直まだ落ち着きません」 私にお茶を渡してくれ、真剣な表情へ二人は変わる。ここからが本題なのだろう。私は不安に押し潰されそうになりながら、なんとか二人へ顔を向ける。 帰るために頑張らなくては。
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