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「輝火、氷の国へ行くぞ。準備を急がせろ」
その言葉に返事もなく、部屋に待機していた兵へ指示を送る。
「氷の国になにかあるの?」
私の問いに紅夜は全く反応せず、輝火が代わりに答えてくれる。
「氷の国隊長と紅夜隊長は犬猿の仲ですからね。まぁ現在の隊長は皆仲があまりよくないですけどね」
輝火の説明に紅夜の機嫌がどんどん悪くなるのがわかる。そんなに嫌いな相手なのだろうか?
「嫌いというよりは苦手なんだ。特に氷の国隊長はな。あいつに頼るのは嫌だがそうも言っていられないだろ?」
仕方ないと言わんばかりの表情を見せ、初めて紅夜の微笑む、仏頂面以外の表情を見た。そんな表情1つでも絵になるほど、美形なんだと改めて思わされる。
「でも二人ともそんな若くして隊長や副長なんて凄いんだね。優秀なんだろうな」
何気なく呟いた言葉が地雷だったと、誰がわかるだろうか?
この一言で紅夜の表情はまた不機嫌なものへ戻る。
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