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固まっていると、背中に温もりを感じる。驚いて振り返ると紅夜が同じオースに跨がっていた。
「気性は大人しいが、速度が早いのがオースの特徴だ。乗ったことがないのなら、仕方ないだろ。それとも嫌とか言うつもりか?」
その言葉に驚き、言葉が出なかった。ただ首を必死に横に何度も振り、拒否していないことを伝えるのが精一杯だった。
紅夜の行動に驚いたのもあったが、男の人がこんなに近くにいることが、手が触れていることが小学生の頃以来であり照れと恥ずかしさが込み上げる。
「準備はいいか?」
紅夜の言葉に輝火と他の兵が頷いたのを見て、ゆっくりと移動が始まる。
私は速度が早いと聞いていたので、必死に手綱にしがみつく。
「あれ?」
そんなに早く感じることはなく、むしろ自転車に乗っているほどの速度しか感じなかった。
「こいつが慣れるまでこの速度で行くぞ。飛ばしすぎるなよ?」
そんな声が背中から響く。
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