第2章 最後の訪問者

14/14
前へ
/271ページ
次へ
その言葉に少し見直す。乱暴なイメージがあったがやはり隊長と呼ばれる存在だけあり、気遣いは出来るようだ。こう言っては失礼だが、さっきまでのやり取りからはとても思えなかった。 心地好い風が髪を靡かせる。私が寝かされていた場所は、城だったようで振り返ると日本の城のような建物が小さく見える。町中にある建物も、時代劇で見るような民家。所々で商売人が魔物の肉や武器などを売っているのが見える。 体感で一時間くらい走ったところで、門が見えてきた。どうやらここからが火の国の外になるよう。 隊長に副長が揃って出かけるのに、門番はなにも言わず、私達を通してくれた。 空を見上げると、太陽がちょうど真上に見える。 「ここからはもたもたしていると、時間がかかり過ぎる。少し飛ばすからしっかり捕まっていろ」 門を出たところで紅夜(こうや)が私に囁く。私が頷いたのを確認したのか、少しづつ速度が上がる。さっきの倍以上のスピードだった。
/271ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加