第3章 氷の国

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森の中、草原、色々な景色の中を通りすぎた。景色に見とれる余裕などなかったけど。 真上にあった太陽が沈みかけて夕焼けになる頃、ようやく氷の国の門へ到着していた。 「火の国隊長、紅夜(こうや)だ。氷の国隊長の蒼真(そうま)へ用件がある」 門番と紅夜(こうや)が話している。門番のほうは隊長自ら訪れることが珍しく慌てているだけだが。 この世界に電話のようなものはない。勿論念話のようなことも出来ない。紅夜(こうや)達の話では通してもらえるのは明日になるかもしれないとのことだ。すんなり通してもらえる用件でもないから仕方ないのかもしれない。 でも、不思議だったのは火の国は暑いわけではなかったこと、氷の国も寒いわけではないことだ。勝手なイメージで火の国だから暑いと思っていたから不思議な感じ。 気候も日本と変わらないようで、ちょうど夏から秋へ変わる頃のようだ。少し夜風が心地よい。 「通行許可が出ました」 門番に話して僅かな時間しか経っていないのに、そんな言葉が返ってきた。
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