第3章 氷の国

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すぐに通されたことに疑問を感じながらも、人の倍ほどの大きさの門をくぐる。疑問の答えはすぐに見つかった。 真っ青な耳より少し長い髪。真ん中から髪をわけた美形男子が私達を待っていたのだ。 「凍耶(とうや)か。こんなところでなにを?」 その男性に輝火(かがほ)が話しかける。 「たまたま近くに用事があってね。門のほうが騒がしかったから来てみたのさ」 紅夜(こうや)たちと同じような装束に身をまとい、少し気取った感じの凍耶(とうや)。 「しかし、副長のお前がここにいたのは幸いだ。蒼真(そうま)に用事がある。通らせてもらうぞ」 その言葉を聞いてすぐに通された理由がわかった。氷の国副長がいたのなら確かに話は早いよね。 「隊長は守護城にいると思いますが、通すかどうかは用件次第です」 道を塞ぐように立ちはだかる。門の周りは森になっていて、この道を通るしか方法はなさそうに思えた。森の中には野蛮な魔物も多いと聞いていたから。
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